よくあるご質問(FAQ)~債務整理

この記事では、債務整理のよくあるご質問をご紹介します。

一般のよくあるご質問刑事事件のよくあるご質問は、それぞれの記事をご参照ください。

Q.債務整理の方法として、どのようなものがありますか?

債権者との間の話合いで債務減額や分割返済の和解を行う「任意整理」、裁判所の手続を用いる「破産や民事再生(個人再生)、特定調停等」、法律上の制度ではありませんが、「関係団体の策定する各種ガイドライン等に基づいて行う私的整理」などがあります。
また、債務の返済が長期間行われていない場合などには、債務を時効により消滅させることができる場合もあります。

Q.借金の時効は、何年ですか?

時効期間は5年間です。
なお、令和2年3月以前に、親族や知人などから借りたお金については、時効期間は10年間となります。

Q.家族の借金の返済が滞ったのですが、家族の借金を私が返済する必要があるでしょうか?

ご家族の借金であっても、法律上は、返済する義務はありません。
ただし、ご家族の借金の保証人となっている場合は、保証人として弁済する義務があります。

Q.親が亡くなった後、多額の借金があることが分かりました。子供である私や兄弟が返済しないといけないのでしょうか?

返済しなくてもよくなる方法があります。

親が亡くなった場合、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も、子供が相続することになります。
もっとも、相続放棄を行えば、親の借金を返済する必要はなくなります。
相続放棄は、一定の期間内に、家庭裁判所で行う必要があり、相続人間の話合いでできるものではありませんので、注意が必要です。

なお、親の借金について、実は過払金が生じており、債務はなかった、ということもあり得ます。

Q.債務整理をした場合、お金が借りられるようになるまで、どの程度の期間が必要でしょうか?

法律上は、お金を借りることの制限が生じるわけではありませんが、一般に5年から7年ほどは、お金を借りることができなくなるようです。
これは、信用情報機関において、信用情報として、債務整理についての情報が登録されるためです。詳しくは、次のウェブサイト等をご参照ください。
https://www.cic.co.jp/confidence/posession.html#anchor02
https://www.cic.co.jp/faq/detail/cre/cre01/002585.html

Q.破産手続というのは、どういった手続ですか?

破産手続というのは、基本的には、破産手続が始まった時点でお持ちの財産をお金に換えて、債権者に配るという手続です。
ただし、個人の方の場合は、財産がすべて取り上げられると生活できなくなってしまいますので、生活に必要な一定の財産はそのまま維持することができます。
また、個人の方の場合は、裁判所の免責許可を得ることにより、債務を返済する必要がなくなります。

Q.破産することには、どのようなメリットがありますか?

自己破産すると、個人の方の場合、裁判所の決定で、債務の返済をしなくてよいことになります。これを免責許可といいます。
なお、法律上、「免責を許可しない事由」も定められていますが、免責を許可しない事由に当てはまる場合であっても、適切な弁護活動により、ほとんどの場合は、裁判所の裁量で免責を許可してもらうことができます。

Q.破産することには、どのようなデメリットがありますか?

破産のデメリットとして、破産したことが官報公告される、ご自宅等の財産を失う、しばらくお金を貸してもらえなくなる、一定の仕事ができなくなる、等があります。

それぞれのデメリットについては、他のQ&Aもご参照ください。

Q.破産すると、車や預貯金はどうなりますか?

個人の方の場合は、破産をしても、一定の範囲で、車や預貯金などの財産を維持することができます。

多くの方は債務に苦しんで破産の申立てをしますので、大きな財産を持っていないことも多いです。その場合、お持ちの財産を全く失うことなく、破産できることも多くあります。

破産手続は、基本的には、破産手続開始時点でお持ちの財産をお金に換えて、債権者に配るという手続ですが、全ての財産を取り上げられてしまうと、その後の生活ができなくなってしまいます。そのため、一定の範囲では、財産を維持することができることになっているのです。

Q.破産すると、仕事ができなくなりませんか?

破産をすると、破産手続を行っている間は、一定の仕事ができなくなります。しかし、それ以外の仕事は続けることができます。
なお、その後免責決定が確定すれば、仕事をすることの法律上の制限はなくなります。

具体的には、たとえば、弁護士・公認会計士・司法書士・税理士・行政書士・宅地建物取引士・警備員・保険外交員・旅行業務取扱管理者などは、破産手続開始によりその仕事を行うことができなくなります(たとえば、旅行業者の営業所の旅行業務取扱管理者すべてについて破産手続が開始した場合、その営業所において、旅行業務に関する契約を締結することができなくなります。)。
破産者が免責許可決定を受ければ、原則としてこの制限もなくなりますが、取引先等から、独自に制限をかけられる可能性もあります。

なお、株式会社の取締役については、破産により一度取締役の地位を失うことになりますが、免責許可決定前でも、再度選任されることが可能です。

Q.破産の申立ては、弁護士に依頼しないとできないのでしょうか?

破産の申立ては、ご自身で行うこともできます。

もっとも、破産管財人が選任される通常の破産手続の場合は、ご自身で申立てを行った場合、裁判所から、破産管財人の活動のための予納金として、大きい金額が設定されることになります。
千葉地裁の場合、個人の方が弁護士に依頼して申立てを行ったときの予納金は最低20万円程度なのに対し、ご自身で申立てを行ったときの予納金は最低50万円程度となります。
また、弁護士に依頼すれば、難しい手続を代わりに行ってもらうことができます。
そのため、破産の申立ては、弁護士に依頼することをお勧めします。

Q.破産はしたくないと考えています。破産を回避するにはどうしたらよいでしょうか?

任意整理や民事再生を利用することができます。

また、自然災害債務整理ガイドライン(http://www.dgl.or.jp/guideline/pdf/disaster-gl_leaf.pdf)、経営者保証ガイドライン(https://www.zenginkyo.or.jp/adr/sme/guideline/)、再生支援協議会スキーム(https://www.chiba-cci.or.jp/)等に則った手続により、破産しなくてよい場合もあります。

Q.個人再生というのは、どういった手続ですか?

個人再生は、裁判所の決定で、債務の額を減縮してもらい、減縮された債務を再生計画に従って、分割返済していくという手続です。

大まかにいえば、債務額が次のように減縮されます。

債務額減縮後の金額
100万円以下当該債務額(減縮なし)
100万円超1500万円以下5分の1の額(ただし最低額は100万円)
1500万円超3000万円以下300万円
3000万円超10分の1の額
個人再生による債務減額

もっとも、個人再生の種類や、保有している財産の価額によっては、債務がここまで減縮されないこともあります。
再生計画では、このように減縮された債務を、原則として3年以内の分割で返済する計画を立てることになります。

Q.破産と個人再生は、何が違うのですか?

破産と個人再生には、大まかにいえば、次のような違いがあります。

破産手続は、破産手続開始時点で保有している財産をお金に換えて、債権者に配るという手続です(ただし、生活に必要な一定の財産はそのまま維持できます。)。
個人破産の場合、裁判所に免責を許可してもらえば、債務を返済する必要はなくなります。

これに対して、個人再生は、債務を減縮してもらい、減縮された債務を再生計画に従って分割返済していくという手続です。
破産の場合のように、財産をお金に換えられてしまうということはありません。
他方で、債務は減縮されるものの、返済はしなければなりませんので、破産の場合のように、債務返済の必要がなくなるものではありません。

また、個人再生では、住宅ローンを債務減縮の対象から外して、住宅ローン債権者と協議を行い、リスケ等をすることによって、ローン返済中の自宅を維持することができます。

Q.破産すれば債務を返済する必要がなくなるのに対して、個人再生では債務は返済する必要があるということですが、どのような場合に個人再生を選ぶのでしょうか?

住宅ローン返済中のご自宅を維持したい場合や、お仕事の関係(破産すると仕事ができなくなる場合など)や心情的な問題から破産は避けたいという場合には、個人再生を選ぶことになります。

なお、破産しても免責を受けられない可能性がある場合に、個人再生を選ぶという選択もあり得ますが、多くの場合は、この点を理由として個人再生を選ぶ必要はありません。このような理由で個人再生を選択するのは、免責不許可の可能性がかなり高い場合に限られます。

また、破産の場合も個人再生の場合も、官報公告が行われますので、個人再生を選べば、債務整理をしていることを秘密にできるというものではありません。

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