この記事では、刑事事件のよくあるご質問をご紹介します。
一般のよくあるご質問、債務整理のよくあるご質問は、それぞれの記事をご参照ください。
目次
- Q.家族が警察に逮捕されました。逮捕された後は、どうなりますか?
- Q.家族が警察に逮捕されました。いつ釈放されますか?
- Q.検察官が勾留請求をしたのに、裁判官がそれを認めないということがあるのですか?
- Q.家族が逮捕されました。どのようにすれば、面会することができますか?
- Q.家族が逮捕されました。とりあえず面会だけの依頼をすることはできますか?
- Q.保釈してもらう場合、裁判所に預けるお金は、どれくらい用意すればよいですか?
- Q.裁判所から命令されて、罰金を支払いました。もう被害者には賠償しなくてよいですか?
- Q.執行猶予というのは何ですか?
- Q.裁判所で、有罪判決の言渡しを受けました。仕事を続けることはできるでしょうか?
- Q.不起訴となった場合、そのことを証明してもらうことはできますか?
- Q.警察から犯罪の嫌疑をかけられました。どのくらいの期間、捜査がされるのでしょうか?
Q.家族が警察に逮捕されました。逮捕された後は、どうなりますか?
逮捕後すぐに釈放される場合を除くと、48時間以内に、事件の取扱いが検察官に移ります。
検察官は、24時間以内に、逮捕されたご家族について、裁判所に勾留を請求するかどうかを判断しなければなりません。
勾留(起訴前)というのは、逮捕に引き続いて、原則10日間、身体拘束を継続するというものです。ただし、延長された場合は、最大で20日間、身体拘束が継続することになります。
なお、勾留されたまま起訴された場合は、そのまま起訴後勾留に切り替わり、身体拘束が継続することになります。
検察官が勾留請求しないこととした場合には、ご家族は釈放されることになります。
検察官が勾留請求をした場合でも、裁判所が勾留を認めなかった場合には、ご家族は勾留されることなく釈放されることになります。
他方で、検察官が勾留請求を行い、裁判所が勾留を認めた場合には、上述のような身体拘束が継続されることになります。
ただし、勾留の裁判に対しては、不服申立てを行うことができ、不服申立てが通れば、ご家族は釈放されることになります。
千葉県内の事案では、逮捕の翌日に検察官に事件の取扱いが移り、その日のうちに検察官が勾留請求を行うことが多いです。
たとえば、4月1日に逮捕された場合、4月2日に検察官に取扱いが移り、その日のうちに勾留請求がなされることが多いです。裁判官が勾留を認めた場合には、4月2日から数えて10日目である4月11日が勾留の満期になります。勾留が延長された場合は、最大で4月21日まで勾留が続くことになります。
検察官は、勾留が終わるまでの間に、起訴するかしないか、それとも処分を保留して釈放するかを決めることになります。検察官が4月21日に起訴した場合は、そのまま起訴後勾留に切り替わり、身体拘束が継続することになります。
なお、少年事件の場合は、検察官は、捜査を終えると、家庭裁判所に事件の取扱いを移し、少年が少年鑑別所に入れられることもありますので、以上の流れとは異なることとなります。
Q.家族が警察に逮捕されました。いつ釈放されますか?
判決前の釈放のタイミングとして、次の4つがあります。なお、逮捕された後の流れについては、1つ前のQ&Aをご参照ください。
1 勾留されずに釈放される場合
2 勾留された後、勾留が取り消されて釈放される場合
3 勾留された後、満期前に釈放される場合
4 起訴された後に保釈等により釈放される場合
勾留されずに釈放される場合というのは、検察官が勾留請求をしなかった場合、検察官が勾留請求をしたが裁判所がこれを認めなかった場合、の2つのパターンがあります。
勾留された後、勾留が取り消される場合というのは、弁護人が勾留に対する不服申立てや、勾留取消請求を行い、裁判所がこれを認めた場合です。
勾留された後、満期前に釈放される場合というのは、検察官において必要な捜査を迅速に終えた場合になされることがあるものです。弊所の取扱案件では、このようなことはほとんどない印象です。
起訴された後に保釈等により釈放される場合というのは、起訴後に保釈許可を得て、保釈により釈放される場合や、起訴後の勾留を取り消してもらう場合などです。
保釈というのは、裁判所に保釈請求を行い、保釈許可決定を得た後に、裁判所にお金を預けることによって、釈放してもらう制度です。
なお、少年事件の場合は、以上とは異なります。
Q.検察官が勾留請求をしたのに、裁判官がそれを認めないということがあるのですか?
弁護人が付いていない案件では、検察官の勾留請求を裁判官が認めないということは、ほとんどないのではないかと思います。
他方で、弁護人を依頼して、適切な弁護活動がなされた場合には、時間との勝負になりますが、裁判官に検察官の勾留請求を却下してもらえることは、それなりにあります。
たとえば、弊所の取扱案件では、
・ご家族に身元引受人となっていただいた上で、裁判所にご本人の生活状況や事案の性質を説明し、勾留の要件該当性がないことを主張する意見書を提出して、勾留を阻止した案件
・逮捕事実を検討したところ犯罪が成立していないことが分かり、そのことを主張する意見書を裁判所に提出して、勾留を阻止した案件
などがあります。
犯罪が成立している場合でも、比較的軽微な事案で、ご家族に身元引受人になっていただける場合は、勾留を阻止できる場合が比較的多いです。
Q.家族が逮捕されました。どのようにすれば、面会することができますか?
逮捕された段階(勾留されていない段階)では、ご家族であっても面会はできません。
また、勾留となった後も、接見禁止決定がなされると、同様に面会することはできません。
勾留となった後、接見禁止決定がなされていなければ、警察署など、身体拘束されている場所で面会することができます。
ただし、面会できるのは平日日中のみであり、捜査の都合により面会ができないこともあります。また、警察署には面会室が1部屋しかないことも多く、他の方が面会中であれば、面会することはできません。加えて、面会の際は、警察官等が同席することになります。
なお、弁護士であれば、逮捕段階でも、勾留段階で接見禁止が付いていても、警察官等の同席なしに面会できます。また、弁護士であれば、取調べ中であっても取調べをいったん中断して、ご本人を面会室に連れて来ていただくことができる場合が多いです。
Q.家族が逮捕されました。とりあえず面会だけの依頼をすることはできますか?
面会だけのご依頼も承っております。
面会だけのご依頼の場合、身体拘束がなされている場所にもよりますが、初回は55,000円(税抜50,000円)をいただいております。
なお、そのまま通常の刑事弁護をご依頼いただく場合には、着手金は、通常の金額から面会の際の費用を控除した金額としています。
Q.保釈してもらう場合、裁判所に預けるお金は、どれくらい用意すればよいですか?
具体的な金額は、裁判所が保釈許可決定を行う際に、事案の性質に応じて設定します。
初めて起訴される場合で、事案が重くない場合は、ご本人の収入・資産状況にもよりますが、保釈保証金は150万円と設定されることが多いです。
手持ちのお金が不足する場合は、保釈保証金の立替事業等を利用することもできます。たとえば、一般社団法人日本保釈支援協会が行う事業については、次のウェブサイトをご参照ください。
https://www.hosyaku.gr.jp/
Q.裁判所から命令されて、罰金を支払いました。もう被害者には賠償しなくてよいですか?
刑事責任と民事責任は別ですので、被害者に対する賠償は別途必要となります。
たとえば、酒気帯び運転で物損事故を起こした後、裁判所の命令に従い罰金を支払ったとしても(刑事責任)、物を壊された被害者に対しては、被害弁償を行う必要があります(民事責任)。
Q.執行猶予というのは何ですか?
裁判で刑事罰を言い渡されても、すぐには刑が執行されないという制度です。執行猶予期間が満了すれば、刑罰の言渡しそのものの効力がなくなります。
たとえば、窃盗で懲役1年半の判決を受けると同時に、3年間の執行猶予が付いた場合、懲役刑の言い渡しがなされているわけですが、すぐに刑務所に入れられることはありません。3年間は刑務所に入ることが猶予されるわけです。
そして、3年間、他に犯罪を行うことなく真面目に生活をしていれば、執行猶予期間の満了により、刑罰の言渡しそのものの効力がなくなりますので、言い渡された懲役刑に服する必要はなくなります。
他方で、もう一度窃盗をしてしまい、執行猶予期間中に、懲役1年の判決を受けてしまうと、その1年間だけでなく、前に言い渡された懲役1年半の分についても、合わせて刑の執行がなされることになります。そのため、この場合には、2年半の懲役のため、刑務所に入れられることになります。
Q.裁判所で、有罪判決の言渡しを受けました。仕事を続けることはできるでしょうか?
有罪判決を受けて、刑が確定すると、一定の仕事をすることができなくなります。
たとえば、法律上の制限として、会社法違反等の罪により有罪となった場合や、その他の法令に違反して禁錮以上の刑となった場合は、一定の期間、株式会社の取締役になることはできません。
また、建設業や廃棄物処理業など、法律上の許可を得なければできない仕事について、有罪判決が確定したことが許可の取消事由となっている場合もあります。
建設業法についてみると、建設業の許可を受けている方や許可を受けている会社の役員等が、建設業法等に違反して罰金となった場合や、その他の法令に違反して禁錮以上の刑となった場合を、許可の取消事由としています。
許可が取り消されると、その仕事を続けることはできなくなります。
その他、法律上の制限ではありませんが、お勤めの会社の就業規則により当該犯罪が懲戒事由とされていたり、有罪となったことが取引の停止事由とされたりすることもあります。
なお、このように法律上の制限ではない場合は、単に、告発されただけ、起訴されただけの段階でも、取引から排除されることがあります。
Q.不起訴となった場合、そのことを証明してもらうことはできますか?
検察庁において、不起訴処分告知書を発行してもらうことができます。
ただし、書類上では、不起訴の理由(嫌疑がないため不起訴なのか、情状を考慮して不起訴なのか等)は明らかにしてもらえません(少なくとも、弊所の取扱案件では、不起訴処分告知書上に、不起訴の理由を記載していただいたことはありません。)。
Q.警察から犯罪の嫌疑をかけられました。どのくらいの期間、捜査がされるのでしょうか?
逮捕、勾留がなされた場合は、勾留の期間が終わるまでの間に、警察・検察は捜査を終えることが一般的です。
他方で、身体拘束なしに、犯罪の嫌疑をかけられた方を在宅のままとして捜査が進められる場合は、事案の性質や捜査機関の忙しさの程度によって、様々です。
案件によっては、年単位で捜査が続けられることもあります。
検察官は、捜査を終えると、起訴するかどうかの判断を行うことになります。
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